最近の家づくりで取り入れが増えてきているのが「横並びダイニング」です。
横並びダイニングというのは、キッチンカウンターがそのまま横に伸びた場所に横並びでダイニングテーブルを設置する間取りのことを言います。
キッチンカウンターとダイニングテーブルを横並びにすることで、距離が近くなり家事の効率化、家族のコミュニケーションが密になります。
一方で、キッチンが丸見えになる、リビングとの距離が遠くなるなどのデメリットの声もあるのです。
そこで今回の記事では、
- ダイニングの横並び・後悔の声はなぜ?
- ダイニングを横並びにするメリット
- 失敗しないためにできる工夫
などを紹介していきますので、メリットや後悔の両方の声を聴いて、自分の家庭に合った快適なダイニング配置をしていきましょう。
ダイニングの横並び・後悔の声はなぜ?
ダイニングの横並びは、見た目のイメージ的におしゃれだったり、キッチンで子供と会話しながら家事ができるなど良いイメージがあります。
しかし、横並びダイニングを取り入れる時には、工夫しないと後悔することにもなりかねません。
実際使用してみて後悔した声をチェックしてみましょう。
テーブル周りが狭くなった
ダイニングの横並びをして後悔したという声の一つで多いのは「テーブル周りが狭くなった」ということです。
実は横並びのダイニング配置にしたい時には、通常の垂直の配置よりもスペースが多く必要となるのです。リビングダイニングが狭い家で横並び配置をすることで、全体が狭く感じてしまうというデメリットがあります。
横並び配置をするなら、最初の計画段階から設置場所にある程度のスペースを確保しておきましょう。
テーブルの大きさをワンサイズ小さくしたり、四角ではなく丸いテーブルを使うなど工夫して広く使うことは可能です。
キッチンの中が見えてしまう
キッチンとダイニングテーブルを横並びにすると、キッチンの中が見えやすくなってしまいます。
シンクをはじめとする作業する場所は、煩雑になりがちです。その見せたくないスペースが完全に見えてしまうため後悔したという声があります。
毎日の生活で家族がキッチンの中を見るのは抵抗はないですが、来客の時にはきれいに片づけておかないと恥ずかしい思いをすることになるでしょう。
リビングへの移動距離が長くなる
横並びのダイニング配置にすると、実際にキッチンからリビングへの移動距離が長くなります。
キッチンからリビングへ行くのに、ダイニングテーブルを回り込むことになるので、物理的に遠くなってしまうのです。
ダイニングのテーブルサイズが大きければ大きいほど距離が長くなりますので要注意です。
距離と言っても家の中なので数秒単位でしか変わりありませんが、毎日の動線となると小さなストレスに感じたり、玄関からキッチンへ大きなものを運ぶときに不便を感じやすいでしょう。
距離を短くしたい場合は、キッチンとダイニングテーブルの間に少し隙間を設けたり、アイランド型にすると良いでしょう。
キッチンでの作業に集中できない
キッチン横並びダイニング配置にして後悔したという声で多いのが、「キッチン作業に集中できない」というのがあります。
これは家族構成にもよりますが、特に小さな子どもがいるとなかなか家事がはかどらなくなるのです。
家事をしながら家族とのコミュニケーションが取れるのがメリットでもあり、夕食などの忙しい時間に、ダイニングテーブルにいる子供からアレコレと話しかけられると、手が止まってしまうのです。
現代、宿題をリビングやダイニングで行う子供が圧倒的多数です。そのため、子供が食事以外でダイニングテーブルを使うことが頻繁になるので、どうしても家事に集中しづらくなってしまう声があるようです。
キッチンの音がうるさく感じる
今後は上記と逆に、キッチンでの家事の音がダイニングテーブルにいる人にうるさく感じるというデメリットもあります。
上記のようにダイニングテーブルで宿題をしている子どもは、キッチンの家事の音が目障りに感じ集中できなくなるのです。また、食事後に、ゆっくりそのままコーヒーを飲んだり、本を読んだりしたいけど、キッチンの片づけの音が気になって落ち着かないということもあります。
最近は、リモートワークも増え、ダイニングで仕事をするケースもありますので、そういった場合にどうしても集中できない環境になってしまうのです。
ダイニングを横並びにするメリット
ここまでは、ダイニングテーブルを横並びにするデメリットを解説してきましたが、もちろんメリットがあるから、取り入れる家庭が増えてきているのも事実です。
私自身、ダイニング横並びを取り入れているので実際に使ってみて良かったと感じる点を共有していきますね。
配膳しやすい
私は実家がT字配置のセッティングで、新居が横並びなのですが、比較して、横並びは圧倒的に配膳がしやすいのです。
料理をしながらすぐに横移動でダイニングテーブルに置けるので、キッチンも手狭にならずストレスを感じません。
特にメリットに感じるのは食器の片づけです。キッチンシンクと距離が近いため、行き来せずとも手を伸ばしてシンクに入れられるのです。
そういう手軽さがあるので、子供も小さいころからサッと自分の食器を片付けてくれる習慣も身に付きました。
広いスペースで作業できる
ダイニングを横並びにするメリットとして、広いスペースで作業できるため、ノンストレスです。
ダイニングテーブルを作業台として代用できますし、ダイニングテーブルに完成品を置いていくことで、キッチンが常に広い状態で作業することもできます。
ホームパーティーで数人で料理する機会がある方、パンや麺、お菓子の手作り、ホットプレートを使った料理をするときなど広い方が便利ですよね。
料理をするのが好きな人、家族の人数が多い、パーティーなどを頻繁にする人などにおすすめです。
料理中は「今すぐ使わないけど、冷蔵庫から出して置いておきたい」というときがあるでしょう。そんなときも、キッチン横に広いスペースがあるため便利に使えます。
会話ができる
ダイニングを横並びにすると、家族の会話が弾みます。
共働き家族が多くなり、仕事、学校が終わり帰宅して、ごはん、洗濯、風呂など家事をしていたら、子供と会話する時間もなかなか取れない現代になってきました。夫の帰宅が遅い時間の家庭もあるでしょう。
そうした時に、夕飯の準備をしながらダイニングに座っている子供と会話、遅くに帰宅してきた夫と食器片づけをしながら会話など、改めて時間を作らなくてもコミュニケーションを取ることができます。
横移動で効率化できる
ダイニングテーブルがキッチンと横並びだと、距離が短く、家事動線として横移動で効率化できます。
冷蔵庫へ食材を取りに行って調理して、食卓に並べるという作業も、食べて終わった食器をシンクに運ぶという作業もすべて横移動で完結できるのです。
また、ダイニングテーブルとキッチンが横並びだと、冷蔵庫とダイニングテーブルは必然的に距離が近くなります。そのため、食事中に飲み物や調味料を冷蔵庫から出し入れするのもらくちんです。
子どもを見守れる
横並びダイニングは、キッチンで家事をしながらダイニングを見ていることができます。
料理中に、ダイニングテーブルで宿題をしている子供から質問されても、少し横移動するだけで見て上げることができるので、子供も気軽に声がかけやすく安心です。
小さい子がテーブルで工作をしたり、色を塗ったりしていても、はさみなど道具の危険がないか、絵の具などこぼしていないかなど見守ることもできるでしょう。
失敗しないためにできる工夫
横並びダイニングテーブルを配置するのは、メリットもデメリットもあります。
デメリットを少しでも解消し、作ってしまった後に後悔せず失敗しないためにできる工夫を考えていきましょう。
ダイニングキッチンのレイアウトを工夫する
ダイニングキッチンのレイアウトは様々な方法があります。
まず、テーブル周囲は、人が通れるように最低60cm、できれば100cmあると余裕ができます。ダイニング周辺の人が通るであろう場所には、設計の段階から余裕を持たせておくのがポイントです。
また、キッチンをアイランド型にすることで、左右どちらからでもリビングに抜けられるようになり動線が確保できます。
簡易的にするなら、キッチン側とダイニングテーブルの間に、ある程度の通路幅を持っておくとよいでしょう。
また、テーブルを丸テーブルにすると見た目を広々感じさせることもできます。
キッチンの通路幅を工夫する
キッチンとダイニングテーブルを横並びにするなら、最初の設計段階で、キッチン側の通路の幅に余裕を持たせると良いでしょう。設計の段階である程度スペースに余裕があれば狭く感じる事もありません。
設計している段階で、実際にダイニングテーブルに座ってみて椅子を引いても背後を通れるか、二人すれ違うことができるか、キッチン側の引き出しを引いても座っている人にぶつからないか?などの確認をしておくと良いですよ。
人が背後を通るときにストレスが無いようにするには通路幅は100~120cm程度あると良いでしょう。
食洗機を導入する
横並びダイニングテーブルの配置で失敗しないための方法として食洗機の導入があります。
食洗機があれば、キッチンの洗い物を一気に入れ込むことができるので、キッチンが煩雑になることはありません。咄嗟の来客時も、食洗器の中に入れ込めば、キッチン回りが一時的でも整って見えるでしょう。
収納を工夫する
キッチンの横並びでダイニングテーブルを配置する時には、収納の工夫をしましょう。
キッチンが狭くなり収納が少なくならないように、背面収納カウンターをキッチン以上に延長して、ダイニング空間にまで長く設置しましょう。
これは私自身が行いましたが、かなり重宝しています。
ダイニングの背面部分の下部は引き出しにしてあるので中は見えないこと、上部はインテリアなどを飾るとリビングから見えたりして楽しむこともできます。
子供用の食器などはダイニングテーブルの後ろに入れておくと、テーブルからすぐ取り出せてとても便利です。
また、システムキッチンの前部にはすでに収納が付いているものがほとんどです。前部と背面カウンターをダイニングまで延長させると、キッチン類以外の日用品も収納できる余裕がありますよ。
掃除を考えた床材にする
キッチンとダイニングテーブルを横並びにすることでのひとつの心配点は、キッチンの汚れが床につくことです。
キッチンとダイニングが一つの空間になっているため、床もそのまま繋がっている状態です。そのため、ダイニング部分の床も、キッチンと同様に掃除しやすい床材にすることをおすすめします。
横並び配置は、全体の統一感が出る点でメリットにもなるので床材もキッチンと同じにしておけば問題ありません。
ダイニングの横並びは工夫すれば効率が良い|まとめ
ダイニングの横並びは、メリット、デメリットがありますが、結果的にデメリットは工夫次第で解消されます。
そう考えると、メリットが多い故に、今横並び配置にする家庭が増えているということでしょうね。
家事効率化、家族のコミュニケーションを増やすなど、現代社会において大事なポイントが横並びの配置によって叶うように思います。
設計段階から工夫を念頭に置きながら、横並びダイニングを取り入れてみましょう。