昔と比較して和室が圧倒的に少なくなりました。デザイン性や機能性を考えて洋室中心の家づくりが主流となっています。
しかし、すべてを和室にするのは懸念があるとしても、一部屋だけあると便利だということで、最近は「畳コーナー」を設ける人が増加中です。ひと間でも畳があると落ち着いたり、寝転んで寛げたりと多岐にわたる使い方ができて便利なのです。
子供が小さい時などは、畳の部屋があると床が柔らかいので安心ですし、お昼寝な寝落ちの時にもさっと横にならせる事もできます。
こう考えると畳コーナーはメリットしかないと感じますが、実は思わぬ落とし穴もあります。
今回の記事では、
- 畳コーナーの適切な広さとは?
- リビングに畳コーナーを設けるメリット
- リビングに畳コーナーを作るデメリット
- 畳コーナーの広さ別使い方を解説
- 畳コーナーのある家が向いている人の特徴
- 畳コーナーの使い方はさまざま
などを紹介していきますので、畳コーナーのメリット、デメリットを考慮して、自分たちの家づくりに必要かどうかを見極めましょう。
畳コーナーの適切な広さとは?
家づくりで畳コーナーを作ろうとすると、広いに越したことがないと考えがちです。しかし、家全体やリビングの広さとバランスが取れていないと快適なコーナーにはなりません。畳コーナーは無駄に広くせず、自分たちの家の全体バランスを考慮して適度な広さを決めましょう。
現在、一般的に畳コーナーで採用されている広さは、だいたい2畳から4畳くらいのスペースです。というのも、2~4畳で充分なのです。それ以上の広さがあっても持て余すだけになります。
畳コーナーを主に何で使うのかを想像し、それに見合ったサイズを考えてみましょう。
まず、布団を敷いて寝ることは考えられるので、使う布団の大きさを把握、布団は1セットか2セットかによって必要な広さも変わります。
そう考えて私は、3.3畳の畳コーナーを作りましたが、結論から言うと大成功だと思っています。
シングルの布団2つ並べても普通に寝れて、子供が遊ぶにも来客対応するにもまさにジャストサイズだと生活してみて感じています。
そう考えると、4畳あるとゆったりとした余裕の畳コーナーになり、2畳ならシングル布団1セットくらいで必要最小限で過ごすことができるでしょう。
畳コーナーの適切な広さというのは、個々で変わります。自分たちがどのように過ごしたいか、どのように活用したいかを想像して広さを決めていきましょう。
リビングに畳コーナーを設けるメリット
リビングに畳コーナーを設置するだけで、使い道は非常に多くあります。もちろん人が過ごすために活躍するのですが、急な来客時の物入れなどにも活用できてとても便利です。
リビングに畳コーナーを設けるメリットを解説していきます。
来客時に活躍する
リビングに畳コーナーがあると、来客時に活用できます。
急な来客があった時に、子供たちが安全に遊ぶ場所として確保できるのが畳コーナーです。大人がリビングで来客対応をしている時に、子供を畳コーナーで遊ばせて来客の邪魔にならないようにすることができます。
併せて、子供連れで遊びに来るママ友たちでも畳コーナーがあると子供たちが自由に畳コーナーで安全に遊び、大人はリビングでゆっくり子供様子を見ながらお茶などができるという嬉しい時間を過ごせます。
リビングにアクセントができる
全体が洋室で作られている家に、ひと間畳コーナーがあるとアクセントができておしゃれです。
和と洋という真逆な雰囲気ですが、現代の和は洋室にあうようなおしゃれでモダンな雰囲気が選べるようになっています。リビングは完全洋室なので、そのリビングに馴染み、違和感ないコーナーが出来上がります。
全体を見渡しても良いアクセントとなり、メリハリの効いたリビングに見えるでしょう。
くつろぐスペースになる
畳コーナーの最大のメリットは、「くつろぐスペース」ができることではないでしょうか。
フローリングに寝転ぶのは体がとても痛いです。少し横になりたいと思う時に、柔らかい畳なら気軽にゴロンと横になれます。リビングは家の中で過ごす一番長い時間なのでくつろぎたいですよね。そういう時に畳コーナーは非常に便利です。
さらに、畳独特の香りが気持ちを落ち着かせてリラックス効果も高めてくれると言われています。
また、畳は湿気を自然に調節してくれる機能を持っています。強い湿気は吸収し、乾燥した時には畳から水分を放出してくれるという調湿機能があるのです。そのため、昼寝をしたりくつろぐには最適な環境と言えるでしょう。
リビングに畳コーナーを作るデメリット
リビングに畳コーナーがあると便利でしか無さそうですが、意外と落とし穴があります。リビングに畳を作るデメリットも把握したうえで、本当に必要かどうか検討していきましょう。
それではリビングに畳コーナーを作るデメリットを紹介していきます。
畳のメンテナンスが手間
畳コーナーのデメリットとしてメンテナンス面があります。フローリングと違い、畳は経年劣化が目に見えてわかりやすいです。毛羽立ちが現れたり、日焼けしたり、変色したりと劣化が目立ちます。
もちろんフローリングも劣化します。しかし畳は特に目に見えるのと、毛羽立ちによってケガなどに繋がる恐れもあります。まず畳は数年経過したら、裏返して使用します。次に「表替え」して、最終的に新しい畳になります。
畳コーナーはフローリングよりメンテナンスの手間がかかると言えるでしょう。
リビングが狭く感じる
リビングに畳コーナーを設けたら、単純にリビングが狭く感じてしまいます。
畳コーナーはリビングにある家が多いです。子供が畳コーナーで遊んでいるのもキッチンで家事をしながら見えるし、リビングで遊んでいて昼寝をしたくなり、そのまま畳コーナーで寝かせるのも便利なのでリビングが最適なのでしょう。
単純にリビングの空間の中に畳コーナーをつくると、リビングは体感的にも物理的にも狭くなります。では、畳コーナーを作るからリビング全体を大きくしようと考えると、面積を大きくするので予算が大きく変わってしまうかもしれません。
畳コーナーを作ろうと考えたなら、家全体とリビング、畳コーナーのバランスを考えて計画する必要があります。
床暖房にできない
畳コーナーのデメリットとして、通常の畳だと床暖房が設置できないということがあります。そうなると冬が寒いですよね。もちろん床暖房に対応した畳はありますが、いくつかネックがあるのです。
床暖房用の畳は、通常より薄く作られています。その分、熱は伝わりやすいのですが、心地が通常の畳ほど柔らかくありません。併せて、専用の畳なので費用も通常の畳より高価になってしまいます。
通常の畳に床暖房をつけることはできないわけではないですが、熱がほぼ伝わらないので意味がありません。そのうえ、畳の劣化、ダニ、カビが発生しやすくなるので、おすすめはできません。
畳コーナーの暖房対策は、エアコンかこたつが良さそうですよ。
畳コーナーの広さ別使い方を解説
リビングに畳コーナーをいざ設けると考えても、どれくらいの広さがあれば充分なのか悩みますよね。広さは使い道によって違うので、自分たちが一番活用できそうな広さで作るようにしましょう。
畳コーナーの広さ別使い方を解説していきます。
2畳
2畳で設置するなら、リビングの広さも充分に確保できます。
2畳での使い道は、来客時の邪魔な荷物の仮置き場、子供の遊びスペースになります。
ゴロゴロと寝転ぶことは可能ですが、布団を敷いて寝るとなると、布団がはみ出てしまう可能性があるので、仮睡眠やお昼寝程度になら使えるでしょう。
あとは、ちょっとした書斎にも活用できるので、リモートワークにも最適です。
3畳
3畳の畳コーナーがあれば、少しの家事もできます。洗濯物を畳みながら横で子供が遊ぶには充分のスペースが確保できます。
布団も1セットは確実で、小さめの布団セットなら2組敷くことができます。来客の人にゆっくり寝てもらうと考えると1人が良いでしょう。
来客時にもてなすには3畳は充分です。ただ、扉やふすまがあると閉めた際に圧迫感を感じてしまうかもしれません。障子扉にしておくと圧迫感は軽減されます。もしくは扉を設置しないタイプの畳コーナーが良いかもしれません。
4畳半
畳コーナーが4畳半あれば、かなり余裕があります。2組の布団を余裕で敷くことができるので、両親が夫婦で泊まりに来ても充分快適に過ごせるでしょう。
4畳半あれば、寝る事も子供の遊び場にも家事でも来客対応もなんでも余裕でできます。1部屋分あるほどゆったり過ごすことができます。
4畳半を作るネックはただひとつ、リビングの広さとのバランスです。4畳半つくるためにリビングが狭くなってしまっては生活に支障が出る恐れもあります。
全体のバランスを考えて余裕のあるリビングであれば、4畳半の畳コーナー設置は可能でしょう。
畳コーナーのある家が向いている人の特徴
畳コーナーを設けたいと考え、メリット、デメリットを考慮して、それでも迷ってしまうこともありますよね。ずっと住む家だし、費用も大きく変わるので簡単に決断できない気持ちがよくわかります。
ここで、ちょっと角度を変えて、畳コーナーがある家が向いている人の特徴を紹介していきます。特徴に当てはまるものが多ければ、畳コーナーを作ると決めても良いかもしれません。逆に当てはまらなければ、作っても使わず終わってしまうことになるかもしれないので、家族とよく話合いましょう。
畳コーナーがあるのが向いている家や人の特徴を紹介していきます。
- 狭い、広いは問わないけど、和室を作ることが家づくりの優先順位の5位までに入る
- 子供がいる、今後子供をもつ予定にしている
- 来客が多い
- お互いの両親がよく来る
- 実家では和室で寝転んでいた時が多かった
上記の中で当てはまる項目が多ければ、畳コーナーを作ると良いでしょう。
家づくりの優先順位は、譲れないことの優先順位です。例えば絶対吹き抜けが欲しい、キッチンを広くしたい、脱衣所を広くしたいなど、自分の家づくりで叶えたいことを羅列し、順位を付けます。その中で和室をつくることが上位に来るなら、作って後悔はしないでしょう。
畳コーナーの使い方はさまざま
畳コーナーが一部屋あるだけで、使い方は多岐にわたり様々な活用方法があります。自分たちの使い方の想像をして、どういうスペースにしたらよいか考えてみましょう。
広さをおさえた小上がり
「小上がりタイプ」というのは、床に段差を付けてだいたい2.30㎝前後上げたところに畳のスペースを作るタイプです。異なる高さにすることで、リビングに立体感が生まれ、雰囲気も洗練された空間になります。
小上がりを作ることで、床からあげた部分を収納スペースにできたり、リビングの空間で腰掛ける椅子のような使い方もできて何かと便利です。
小上がりのデメリットは、「ケガ」と「費用」です。
子供や高齢の方がつまずいたり、小さい子供の転落の危険性があるので注意が必要になります。また、フラットと比較すると建築費用はある程度割り増しにありますね。
とはいえ、空間としてはおしゃれで洗練された雰囲気がでますので、雰囲気重視の人にはおすすめです。
ダイニングを畳にする
畳コーナーを作るというと、たいていイメージはリビングですし、実際リビングが多いでしょう。しかし、ダイニングを畳みにするという家庭も少しづつ増えてきています。
現代、食事はダイニングテーブルが主流です。過去をさかのぼると、床に座ってちゃぶ台で食事をとっていました。
リビングを広く取りたいけど、和室は欲しいという人が取り入れるのがダイニング畳コーナーです。ダイニングの畳に背の低いテーブルを置き、食事を楽しみます。
実家では床座だった人はわかるかもですが、床座は落ち着いて食事を楽しめるのです。全体が低いので広さ的にも圧迫感を感じさせません。
それにリビング畳だと躊躇する「こたつ」も、ダイニング畳なら取り入れる事ができます。こたつに入って食事をとったり、こたつで寝ころぶなどをして幸せなひとときを感じる事ができるでしょう。
畳コーナーの広さは目的次第|まとめ
畳コーナーを作るのはメリット、デメリットがあります。
しかし、「作りたい」と最初から思っている方は、くつろぎたい、子供の遊び場が欲しいなど目的をもっていらっしゃるでしょう。
その目的に応じて、家やリビングとのバランスを考慮しながら最適な広さを決めていくと良いですよ。
畳コーナーの使用目的を明確にして、活用できる畳コーナーを作りましょう。